
膜の等級ではなく、眼鏡全体から考える
スマートグラスは、曲がり、折り畳まれ、肌に接する細いフレームにマイク、開放型スピーカー、電池、電子部品を搭載します。IP67目標には筐体全体の協調設計が必要です。防水透音膜で音孔を守れても、別の箇所にあるヒンジ、接合部、配線貫通部までは密閉できません。
本稿は設計の考え方を提案するもので、認証取得済みのShieldzone製眼鏡の試験報告ではありません。寸法、膜仕様、接着幅、音響許容値は実機図面と試験結果に基づき決定してください。表紙は概念図です。
1. 製品に求めるIP67を定義する
IP67はIEC 60529の試験条件に基づく防じん密閉と一時的浸水の影響に対する保護です。小型機器では通常、水深1 m・30分と説明されます。設計確定前に、適用手順、試料構成、判定基準を試験機関と確認してください。
浸水性能だけでは、高圧洗浄、温水シャワー、洗剤、海水、汗、日焼け止めへの耐性を示せません。想定用途に応じた追加試験を行い、濡れた状態の音響、乾燥後の回復、充電、ヒンジ操作を要件に含めるか明確にします。[1][2]
2. 防水境界と迂回経路を描く
左右テンプルの断面図にマイク入口、スピーカー出口、筐体継ぎ目、ボタン、充電接点、レンズ・カメラ接合部、ヒンジ配線を示します。各箇所で何が水を止め、次のシールへどうつながるか確認します。電子基板のコーティングは筐体シール戦略の代わりにはなりません。
保護された電子空間と、水に濡れ得る外側音響経路を分ける構造が出発点です。左右テンプルを独立密閉するなら別の容積として評価します。気体経路のない空間は別のベントで平衡できません。通常の着用で粘着シールが剥がれないよう、ヒンジ運動とフレームねじれも確認します。
3. マイク孔:膜と音響経路を同時に設計する
候補構造は、外側保護開口、排水可能な前室、連続粘着リング付き防水透音膜、MEMSマイクへの制御された経路です。これは評価用の構造案で、普遍的な層順ではありません。マイク封止形態、組立方向、シール面積が最終構成を決めます。
実際の露出膜面積、粘着内径、孔厚、マイク距離、位置公差を記録し、はみ出し粘着材や異物を有効面から排除します。同じ治具と最終筐体で感度、周波数応答、自己雑音、S/N比を比較します。アレイでは開口差がビームフォーミングに影響し得るため、チャンネル間振幅・位相も評価します。
可能なら肌で直接塞がれる位置を避け、着用姿勢で風雑音と水溜まりを調べます。大開口治具の低挿入損失は狭い眼鏡音孔での性能を保証しません。
4. 開放型スピーカーは個別に評価する
マイク用膜をそのままスピーカー出口に転用しないでください。振幅、出音面積、前室容積、許容音圧損失は異なる制約です。選定振動子に応じ、保護された前室構造と、防水振動子を別途密閉する構造を比較します。
試作積層で、耳位置の周波数応答、出力、ひずみ、左右一致、異音を評価します。最大駆動と操作圧力時の膜クリアランスを確認してください。外側メッシュは異物・機械保護に役立ちますが、追加層として膜、粘着材、スペーサーと一体評価します。
健全な障壁の外側に残る水でも音が一時的に変わります。暴露直後と所定回復時間後に、姿勢と乾燥方法を統一して測定してください。実際の侵入経路を確認せず、一時的なこもりを漏れと判断しないことが重要です。
5. 圧力平衡:独立密閉空間ごとに判断する
温度変化や組立・取り扱い荷重で、小さな密閉テンプル内に差圧が生じます。連通自由容積、温度履歴、許容差圧、平衡時間を評価し、音響経路で十分な気体交換ができるか、独立防水通気孔が必要か判断します。
通気ベントと音響ベントの主目標は異なります。指定圧力と実装形状で通気量を示し、条件のない数値だけで選定しないでください。粘着材、封止樹脂、肌、継続的な水被覆で気体経路を塞がないようにします。通気膜は滞留水の排出や電池安全圧力開放装置の代替にはならず、無結露も保証しません。
6. 粘着リングも防水部品の一部
連続した平坦なシール面を設け、粘着材下のパーティングライン、表面模様、塗膜段差、バリを管理します。接着幅は基材、公差、環境荷重、供給元指示から決定します。IP67を保証する共通の最小幅はありません。
粘着材とフレーム樹脂、塗装、表面処理の相性を検証します。洗浄、圧着、静置、位置合わせ、ライナー剥離を規定します。汗、化粧品、湿度、温度暴露後の端部浮き、しわ、膜損傷、性能変化を確認します。撥油仕様も実際の汚染物で評価し、すべての化粧品への耐性を想定しないでください。
7. 機械的経年後を含む段階検証
段階A―材料・部分組立:規定条件で耐水侵入、音響または通気性能、量産想定基材への接着を比較します。標準試験片だけでなく実際の音孔を使ってください。
段階B―完成品:代表的な組立済み眼鏡に対し、合意したIP6X・IPX7手順を実施します。漏れ時は経路を特定し、暴露前、合意した濡れ状態、回復後の電気機能、マイクチャンネル、スピーカー応答を記録します。
段階C―信頼性:ヒンジ開閉、フレーム曲げ、落下、温度サイクル、湿度、汗・化粧品暴露について試料群と試験順を定めます。その後重要なシール・音響項目を再測定し、原因追跡のため試料履歴を残します。
段階D―工程管理:圧力減衰・通気量検査を、既知の欠陥を含む検証試料と対応付けます。通気膜には意図した気体流れがあるため、気密筐体用リーク試験には適切な治具、方法、閾値が必要です。量産検査は工程管理を支えますが認定試験を置き換えません。
8. Shieldzoneへの技術相談に必要な情報
音孔・テンプル断面、IP試験目標、マイク・スピーカー情報、膜・接着面積、基材、塗膜、許容音響変化、関連する自由容積、組立方法、信頼性計画をご用意ください。共有前に機密情報を適切に処理してください。
Shieldzoneは要件に合わせて音響膜、保護ベント、精密打ち抜き部品を検討します。まず実筐体で少数の候補積層を比較し、機器レベルの根拠が得られてから材料・組立仕様を確定してください。